クッキー利用に関する確認
本サイトはクッキーを使用しています。クッキーは本サイトの動作に必要なもののほか、アクセス状況の分析などに使われます。
同意する
Projects 01
ベイシアグループソリューションズでは、ベイシアグループ内において約30年間にわたり使用していた基幹系システムのオープン化を目的とした「基幹システム刷新プロジェクト」に取り組みました。
将来的な業務改革も見据えたIT化戦略の第一歩ともなった基幹システム刷新プロジェクトについてご紹介いたします。
基幹システムは、当初からあったベイシアのシステムをベースに、独立分社していくたびに必要なものを実装していく形でした。その結果、約70のシステムと連携することとなり、ホストシステムの内部構造もより複雑になっていました。
当時、メインフレームで稼働していた基幹システムには設計ドキュメントがない機能も多く、保守作業も技術者の知識・知見に頼るしかない状態でした。
加えてシステム改修をしようにも、そのたびにプログラムから分析せざるを得ない状況。例えばA社で何らかのシステム変更を行うと、それが巡り巡って関係のないB社でエラーが発生するようなことも起こっていたのです。
日々の業務で基幹システムを使用する中、このまま既存のシステムを延命させ続けることには限界の訪れが予想されたため、基幹システム刷新プロジェクトが発足しました。
今回の基幹システム刷新プロジェクトには、大きく4つの「越えなくてはならない壁」が ありました。
プロジェクトの開始当初は、スクラッチ系(※)で対処する見通しを立てていました。
しかし実際に始めてみると内部構造が非常に複雑であり、解析だけでも大変な労力を要することがわかりました。さらに試算の結果、多大なコストが必要であり、プロジェクトをこのまま継続すると会社全体が大きな負債を抱えてしまうことが判明したのです。
加えて、当時のシステム部門では、消費税率変更への対応にも追われていました。そこで、「当面は消費税関係の対応に注力しつつも、いつかはリカバリーを目指す」、このような思いを経営陣と共有したうえで、プロジェクトをいったんストップさせることになりました。
しかし、経営陣は当プロジェクトが持つ重みを理解していたからこそ、消費税対応の目途がついたタイミングでプロジェクトを再開しました。
このプロジェクトは、単なるシステムの改修事業ではなく、システムを将来にわたって維持できるものにするものです。それは、お客様に末永くサービスを提供することにつながります。当社を利用してくださるお客様のためにも、プロジェクトを成し遂げる必要がありました。
プロジェクトを再スタートさせるにあたり、基幹システムも一新しました。それがTISインテック様の提案による「Xenlon神龍 モダナイゼーションサービス」です。
採用に至った背景には、以下のような点がありました。
ただし、このシステムは中国のオフショアを使用していました。タイミングの悪いことに、当時(2020年)、中国ではコロナ禍により大規模なロックダウンが実施され、人が集まることができない状況に。
しかし、リモートでの対応にも限界があり、その結果、プロジェクトは3ヵ月ほどの機能停止に追い込まれてしまったのです。
そうした状況下でもプロジェクトを進めるべく、日本各地から関係者の方々に集まってもらうことになりました。
対面で働くためにはソーシャルディスタンスの確保が必須でしたが、ちょうどそのころ、ワークマンの本社が群馬県高崎市から東京都台東区へ本社移転を行ったため、旧社屋が空いていました。そこで関係者が旧社屋に引越し、さらにベンダーにも近隣のホテルから通ってもらうことで作業場所が確保できました。
作業場所は確保できたものの、「宿泊先のホテルがコロナ患者の療養施設になったため、別のホテルへの移動が必要になった」など、想定外の事態によってホテルを転々とするメンバーもいる中、プロジェクトは進行していきました。
メンバーと作業環境が整ってからも、プロジェクトの進行には「膨大な数のファイル」という壁が立ちはだかりました。
ベイシアグループでは、個社ごとに業務形態や取引条件がそれぞれ異なっています。さらに各社の売上や会計処理、在庫管理、支払い、物流などをすべてこの一つのシステムで管理しており、複数の処理が常に並行して流れています。
処理過程でファイル同士が競合してしまうため、10万にもおよぶファイルをすべて比較検証し続けなければならないことが大きな課題となりました。
新システムへの移行に伴い、ファイル数は約6万まで減らしたものの、それでもテストケースは1万を超えるものに。人員を150名体制に増やしたうえで、3交代勤務の24時間体制を取りながらひたすら検証を重ねました。検証だけでも約半年間を費やす大事業だったのです。
ベイシアのシステムは取引先の製造ラインと直結しています。例えば、毎日決められた時間までにパンの製造工場に発注データを送らないと、次の日、店頭にパンが並べられません。つまり、一つひとつの処理を決まった時間までに必ず終える必要があるのです。
さらに、店が営業している限りは常に発注データを送り続けなければならず、システムを止められる時間帯がほとんどありませんでした。当時の試算では、1週間から10日間はシステムを止めなければ移行が難しいと考えられましたが、システムを止めてしまえば業務が立ち行かなくなります。
そこで当社は、移行用のサーバーを7台立ち上げ、事前に移行する作業タスクを細かく輪切りにすることで、当日のインパクトを最小限にする手法を採用しました。さらに、システムやリカバリープラン、停止時間帯の処理についても細かく再定義するなど、業務に支障を与えないためにあらゆる手段を講じたのです。
その結果、移行当日の朝5時にシステムを停止させ、12時間後の夕方5時にはすべての移行作業を無事に完了させることに成功しました。
大規模な作業であったものの、こうした移行作業が実施されたことを知っていたのは、社内のごく一部の関係者のみ。日々システムを使用している業務担当者にも気づかれないほど、スムーズに移行ができました。
いくつもの壁があった基幹システム刷新プロジェクトですが、チームが一丸となり、力を合わせて向き合ったからこそ、成功を収められました。
プロジェクトの成功に大きく寄与したのは、システムと実際の業務の双方に精通しており、さらにそれらをロジカルに組み立てることができる経験豊かなメンバーたちの存在です。
例えばシステムに何かエラーや不具合が起きたときには、単にシステムに関する知識があるだけでは解決できません。「このシステムは業務的にはこう動くべきだが、今はこういうエラーを起こしている」、こういった一つひとつの処理を正しく定義していく必要があり、経験豊かなメンバーの力は不可欠でした。
一方、新しく加わった若いメンバーの存在も、力強くプロジェクトを支えていました。
プロパー社員の約半分が若いメンバーでしたが、それぞれが非常に真面目に、この筋肉質なプロジェクトを支えていたのです。気の遠くなるような膨大な検証を延々とやり続ける局面が多い中で、愚直に一つひとつの作業をこなしていました。
年齢も経験も異なるメンバーたちがまさにワンチームとなって取り組めたことが、今回のプロジェクトを成功に導いたのです。
当社と一般的なシステム会社との一番大きな違いは、「お客様の業務と常に共に歩んでいるか」です。
私たちにとっての最優先事項は、お客様の業務を動かすこと。つまり、お店が正常に動き、お客様にご満足いただけるようなサービスを提供することです。具体的には「少しでも安く商品を提供することでお客様に幸せになっていただく」、これに尽きると言えます。
基幹システム刷新プロジェクトにより、ようやく30年前のシステムを一新させることができました。しかし、これはあくまでスタートラインに立ったにすぎません。当社はここからさまざまなITを企画し、実行してまいります。
2023年8月インタビューにて
外部のサービスページへ移動します。