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Projects 03

AI Labチーム

ベイシアグループソリューションズは、Generative AI (生成的人工知能)を研究・開発する専門部署として「AI Labチーム」を発足しました。自社内およびオンラインに存在する膨大なデータをもとに、AIを駆使してお客様満足度を最大化するための取り組みを行っています。

このページでは、AI Labチームの取り組みから2つのプロジェクトをピックアップしてご紹介いたします。

Projects03 AI Labチーム Projects03 AI Labチーム

AI Lab 瀬川 周平
AI Lab 吉田 卓史

口コミ分析を通じた新商品開発

当社のAI Labチームでは、SNSやオンラインショップの口コミ分析を行っています。口コミからお客様が困っていること、求めていることやトレンドを拾い、商品開発に活かす試みです。

AI Labチームの手を介すことなく、商品担当者がお客様の声を直接分析できるシステムを構築しています。今後はこのシステムを活用し、新商品開発に役立てたいと考えています。データ元として、世の中のトレンドと口コミを収集する、非常に大きなデータベースを作っています。

口コミをAIで分析するチャレンジは、グループ内でホームセンターを展開する「カインズ」で始まりました。カインズの商品部から「もっと迅速に、商品開発のトレンドを掴みたい」と相談を受けたことが背景にあります。

カインズのバイヤーはこれまで、センスとアイディアでプライベートブランドを開発してきました。ヒット商品も多く手掛け、メディアにも取り上げていただいています。ただ、バイヤーにも「ヒットメーカー」と呼ばれる方がいる一方で、新人は開発に苦戦しがちという側面がありました。そこで属人性を排し、新人バイヤーでもお客様の声をキャッチできる仕組みを提供したいと考えたのです。

いざ取り組んでからは、バイヤーの誰もが使えるツールにするためのUI・UX設計に苦心しました。バイヤーの方々は普段、開発や商談で多忙を極めます。ですから、なるべく直感的に使えるツールでなくては、口コミ分析をスムーズに活用できません。

AI Labでは最初に最低限の機能を冠したプロトタイプを作り、フィードバックをもらうことにしました。最初のデザインは「何をどこへ入力すればいいかわからない」「やりたい分析を得るために、すべき操作がわからない」といった意見が多数挙がりました。

エンドユーザーである社員から、忌憚なきフィードバックをもらえるのがベイシアグループの強みです。20名程度のヒアリングを通じて、具体的な業務内容を知り、UIを改善していきました。

こうして現在、AIを活用し、多くのプライベートブランド商品を開発しています。直近の成功例では「鉄フライパン」があります。実は以前のカインズでは、鉄製のフライパンに力を入れていませんでした。

ところが、ネットの口コミを分析したところ「アウトドアのシーンで鉄フライパンを使いたい」という話が出てきました。ですが、多くのお客様はお手入れが面倒であることから、購入をためらっていたのです。そこでカインズでは「お手入れが簡単であることを訴求できる、アウトドアに使える鉄フライパン」を商品化しました。

当社でのやりがいとして「実際に商品開発ができる」側面があると思います。「分析を依頼されて、レポートを出して終わり」ではなく、実際に商品ができて、売れ行きまで見ることができます。アウトドアでも利用できる鉄フライパンの例ですと、当社社員のひとりが実際にキャンプを趣味にしていたため、具体的な使い勝手をプロジェクト内で確認しながらカインズの商品開発部隊にフィードバックできました。

AI Lab 瀬川 周平

お惣菜の需要予測で売上2桁アップ

AI Labチームでは、お惣菜の需要予測を行っています。スーパーマーケットにおけるお惣菜は他の食品と比べて消費期限が短く、1日で売りきらなくてはならないものがほとんどです。そのため、適切な量と種類をお客様へ提供することが非常に難しいジャンルといえます。

そこでわれわれはAIを導入し、日々お惣菜がどのタイミングでどれだけ売れるかを予測し、適切な数量をお客様に提供したいと考えています。予想においては、単純に昔の売上データを使うだけでなく、天候や季節、曜日も考慮しています。たとえば、「大雪の翌日に晴天」だった場合、通常の晴天時に比べてもさらに大きな需要があると予測します。さらにこれが祝日だった場合は、何倍もの売上が想定されるでしょう。AI Labではこのような複雑にからみあう要素を含めた、需要予測を実現しています。

さらに次のステップは「需要に応じた発注をどう実現するか」です。これまでベイシアグループでは、従業員が熟練した経験やカンやコツで発注量を決めていました。そこにいきなりAI Labのやり方を押しつけて、異なる発注方法を導入することは望ましくありません。

そこで、いきなり品物を全部AIに移行するのではなく、品目を絞って導入を開始しました。従業員の方々に「試して」もらうことで、経験やカンやコツに比べてAIは便利だと感じてもらえたのです。以降は品目を徐々に増やし、従業員の負担を減らしていきました。

こうしてベイシアグループでは、お惣菜の食品ロスを削減できただけでなく、欲しいタイミングでお客様に届けることができるようになっています。さらに、お惣菜をお客様の欲しい時間帯に並べられるようになっただけでなく、SDGsの観点からも、食品ロスを削減して環境へ貢献できました。また、事前に起こり得る発注にかかわるトラブル事例を数多くシミュレーションしたため、現場での発注トラブルは2023年8月現在、ゼロ件です。

AI Lab 吉田 卓史

大きな裁量権を活かし、さらなる発展を

これらのプロジェクトを実現できているのは、大きい裁量権とアジャイルな開発環境です。一般的なIT業界と同様、キャリア採用が多いのも当社の特徴ですが、前職と比較して裁量権が大きく、動きやすいという声が多く挙がります。

現在、AI Labではお惣菜以外の分野においても、受発注を簡単に進められるよう分析をすすめています。さらに、現時点での需要予測システムに満足せず、需給にあわせて価格が変動するダイナミックプライシングなど、先進的な取り組みを続けていきます。

また、口コミ分析においてもさらにインプットを増やし、よりヒット商品を生み出しやすいシステムを構築していきたいと考えています。たとえば、SNSでバズっている商品をもとに「その次」を提案するシステムを考案できるようにしたいと考えています。2023年の現在、特に生成AIも注目されていますから、ChatGPTで口コミをもとにより重要な情報を抽出したり、カテゴライズしたりしていきたいですね。

横展開で個社の成功をグループの成功に

また、AI Labで達成したいのは「成功事例の横展開」です。1社で成功した事例を他社に展開することで、1社の成功をグループ全体の成功事例に発展させたいという思いがあります。
もっと言えば、さらに、こういった「成功するシステム」をグループ外にも販売できるようになれば素晴らしいと思います。世界最大級の小売業であるスーパーマーケットのウォルマートは、自社システムを外部販売しています。日本におけるウォルマート、あるいはそれ以上を目指すためにも、個社の成功事例を広げていきたいと考えています。

2023年8月インタビューにて

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