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Projects 01

オープン化推進部

当社は、ベイシアグループ内において約30年間にわたり使用していた基幹系システムのオープン化を担う専門部署として「オープン化推進部」を発足しました。これは将来の業務改革をともなうIT化戦略の第一歩として、2019年に計画されたものです。

このページでは、オープン化推進部が取り組んだ基幹システム刷新プロジェクトについてご紹介いたします。

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オープン化推進部部長 平田 稔

基幹システム刷新プロジェクトの背景

私たち当社は、もともとは、ベイシアのIT事業を担う一組織でした。その一方で 基幹システムは、当初からあったベイシアのシステムをベースに、独立分社していくたびに必要なものを実装していく形でした。その結果、約70のシステムと連携することとなり、ホストシステムの内部構造もより複雑になっていったのです。

当時、メインフレームで稼働していた基幹システムには設計ドキュメントがない機能も多く、保守作業も技術者の知識・知見に頼るしかない状態でした。加えてシステム改修をしようにも、そのたびにプログラムから分析せざるを得ない状況。例えばA社で何らかのシステム変更を行うと、それが巡り巡って関係のないB社でエラーが発生するようなことも起こっていたのです。
日々の業務で基幹システムを使う中、このまま既存のシステムを延命させ続けるのは難しいと、限界の訪れが予想されました。

直面した4つの「壁」

今回の刷新プロジェクトには、大きく4つの「越えなくてはならない壁」が ありました。

  1. システムの規模が大きすぎて、スクラッチ系では対応できなかったこと。
  2. コロナ禍の影響により、さまざまな形で活動が制限されたこと。
  3. コンバージョンの規模が巨大であったこと。
  4. 移行に使える時間が限られていたこと。

1.規模が大きすぎてスクラッチ系では対応できなかった

プロジェクトの開始当初は、システムの規模についてはあまり深く考えないまま、おそらくスクラッチ系でなんとかできるだろうという見通しがありました。しかし実際に始めてみると内部構造が非常に複雑であり、解析だけでも大変な労力を要することがわかってきました。さらに試算の結果、多大なコストが必要であり、プロジェクトをこのまま継続すると会社全体が大きな負債を抱えてしまうことが判明したのです。

加えて当時のシステム部門では、消費税率変更への対応にも追われていました。そこで、当面は消費税関係の対応に注力しつつも、いつかはリカバリーを目指す。このような思いを経営陣と共有したうえで、プロジェクトをいったんストップさせることになりました。

その後プロジェクトを再開できたのは、消費税対応の目途がついたこともありますが、何よりも当プロジェクトが持つ重みを経営陣が理解していたためです。

このプロジェクトは、単なるシステムの改修事業ではありません。システムを将来にわたって維持できるものにする。それは、お客様に末永くサービスを提供することにつながります。我々は、当社を利用してくださるお客様のため、成し遂げる必要がありました。

2.コロナの影響により活動が制限された

プロジェクトを再スタートさせるにあたり、基幹システムも一新しました。それがTISインテック様の提案による「Xenlon神龍 モダナイゼーションサービス」 です。

採用の背景には、住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)における大規模システムをオープンプラットフォームに移行させた実績があること、過去に大規模障害が起きていないこと、比較的短時間で安定稼働が可能であること、さらには当社のサンプリングデータを用いたテストなどを経て、コスト面も含めて大きな手ごたえを得られたことなどがありました。

一方、このシステムは中国のオフショアを使用していました。タイミングの悪いことに、この時期(2020年)、中国ではコロナ禍により大規模なロックダウンが実施され、人が集まることができない状況に。とはいえ、リモートでの対応にも限界があります。その結果、プロジェクトは3ヵ月ほどの機能停止に追い込まれてしまったのです。

それでもなんとかプロジェクトを進めるべく、日本各地から関係者の方々に集まってもらうことになりました。ただし、そのためには対面で働くための環境としてのソーシャルディスタンスの確保が必須です。ちょうどその直前に、ワークマンの本社が群馬県高崎市から東京都台東区へ本社移転を行ったため、旧社屋が空いていました。そこで関係者が旧社屋に引越し、さらにベンダーさんにも近隣のホテルから通ってもらうことになったのです。

作業場所は確保できたものの、「宿泊先のホテルがコロナ患者の療養施設になったため、別のホテルへの移動が必要になった」など、想定外の事態によってホテルを転々とするメンバーもいる中、プロジェクトは進行していきました。

3.コンバージョンの規模が巨大だった

メンバーと作業環境は整いましたが、ここで立ちふさがったのが膨大な数のファイルという壁でした。
ベイシアグループでは、個社ごとに業務形態や取引条件がそれぞれ異なっています。さらに各社の売上や会計処理、在庫管理、支払い、物流などをすべてこの一つのシステムで管理しており、複数の処理が常に並行して流れています。そのため、処理過程でファイル同士が競合してしまう。ファイルの管理が大きな課題となりました。

そうなると、すべてのファイルを比較検証し続けなければならず、そのファイルの数はなんと10万も。新システムへの移行に伴い約6万まで減らしたものの、それでもテストケースは1万を超えました。そのため、人員を150名体制に増やしたうえで、3交代勤務の24時間体制を取りながらひたすら検証を重ねました。検証だけでも約半年間を費やす大事業だったのです。

4.移行に使える時間が限られていた

ベイシアのシステムは取引先の製造ラインと直結しています。例えば、毎日決められた時間までにパンの製造工場に発注データを送らないと、次の日、店頭にパンが並べられません。つまり、一つひとつの処理を決まった時間までに必ず終える必要があるのです。
さらに、店が営業している限りは常に発注データを送り続けなければならず、システムを止められる時間帯がほとんどありませんでした。当時の試算では、1週間から10日間はシステムを止めないと移行ができなかったのですが、それでは業務が立ち行きません。
そこで移行用のサーバーを7台立ち上げ、事前に移行する作業タスクを細かく輪切りにすることで、当日のインパクトを最小限にする手法を採用しました。さらに、システムやリカバリープラン、停止時間帯の処理についても細かく再定義するなど、業務に支障を与えないためにあらゆる手段を講じたのです。
その結果、移行当日の朝5時にシステムを停止させ、12時間後の夕方5時にはすべての移行作業を無事に完了させることができました。

なお、こうした移行作業が実施されたことは、社内のごく一部の関係者以外は全く知らなかったと思います。日々システムを使用している業務担当者にも気づかれないほど、スムーズに移行ができました。

オープン化推進部部長 平田 稔

仲間たちとのワンチームで、大きな壁を乗り越える

今回のプロジェクトにおいて、いくつもの壁を乗り越えることができたのは、何よりも仲間の力が大きかったと思います。

これまでの基幹システムは、ベイシアグループの中で約30年間使い続けられたものです。その間、システムの保守管理をメインで担ってきたメンバーがいまだ現役で社内にいてくれたことが幸いだったと思います。

例えばシステムに何かエラーや不具合が起きたときには、単にシステムに関する知識があるだけでは解決できません。「このシステムは業務的にはこう動くべきだが、今はこういうエラーを起こしている」、こういった一つひとつの処理を正しく定義していく必要があります。

つまり、システムと実際の業務の双方に精通しており、さらにそれらをロジカルに組み立てることができる経験豊かなメンバーたちがいた。また、こうしたベテランメンバーは、さまざまな局面で経験の少ない若手メンバーのサポートも担ってくれました。

一方、新しく加わった若いメンバーがプロパー社員の約半分を占めており、皆さん非常に真面目にこの筋肉質なプロジェクトを支えてくれたのです。気の遠くなるような膨大な検証を延々とやり続ける局面も多かったものの、本当に愚直に一つひとつの作業をこなしていました。

年齢も経験も異なるメンバーたちがまさにワンチームとなって取り組めたことが、まさに今回のプロジェクト成功の原動力であったと感じています。

お客様に満足いただくために

当社と一般的なシステム会社との一番大きな違いは、「お客様の業務と常に共に歩んでいるか」です。私たちにとっての最優先事項は、お客様の業務を動かすこと。つまり、お店が正常に動き、お客様にご満足いただけるようなサービスを提供することなのです。具体的には、少しでも安く商品を提供することでお客様に幸せになっていただく、これに尽きると思います。

今回のシステムオープン化により、ようやく30年間前のシステムを一新させることができました。しかし、これはあくまでスタートラインに立ったにすぎません。我々はここからさまざまなITを企画し、実行していきます。

2023年8月インタビューにて

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